下咽頭腫瘍

2011年10月13日

基本的概念

下咽頭に発生する腫瘍の大部分は扁平上皮癌で良性腫瘍は比較的少ないです。

下咽頭癌は頭頸部癌の内10%余りを占める癌で最近は徐々に増加傾向を示しています。発癌には喫煙・飲酒の習慣が大きく関与しているといわれています。また下咽頭は食道とつながっており、食道への進展することが多く、また頸部へのリンパ節転移も高頻度にみられます。

 

症状

下咽頭癌の初期には特異的な症状はなく、咽頭異常感や閉塞感ぐらいです。ただ半数ぐらいには飲み込んだときに少しチクッとするなどの痛みを訴えら れます。場所的にも非常に見難い部位であるために発見されにくい疾患です。癌が進行すると咽頭痛が増強してきたり、血痰、嗄声、嚥下障害、呼吸困難などの 様々な症状が出てくることが考えられます。また、下咽頭癌は非常に頸部リンパ節転移をおこしやすいため、頸部リンパ節腫脹が初発症状として見られることも 多いです。

 

分類

咽頭食道接合部(輪状後部) (C13.0)

梨状陥凹 (C12.9)

咽頭後壁 (C13.2)

 

TNM分類

T1 下咽頭の1亜部位に限局し、最大径が2cm以下の腫瘍

T2 片側喉頭の固定なく、下咽頭の1亜部位をこえるか、隣接する1部位に浸潤する腫瘍、または最大径が2cmをこえるが4cm以下の腫瘍

T3 片側喉頭が固定するか、最大径が4cmをこえる腫瘍

T4 喉頭軟骨や輪状軟骨、頸動脈、頸部軟部組織、椎前筋膜及び同筋、甲状腺、および/または食道など隣接組織に浸潤する腫瘍

 

NX 所属リンパ節転移の評価が不可能

N0 所属リンパ節転移なし

N1 同側の単発性リンパ節転移で最大径が3cm以下

N2 同側の単発性リンパ節転移で最大径が3cmをこえるが6cm以下、または同側の多発性リンパ節転移で最大径が6cm以下、または両側あるいは対側のリンパ節転移で最大径が6cm以下

N2a 同側の単発性リンパ節転移で最大径が3cmをこえるが6cm以下

N2b 同側の多発性リンパ節転移で最大径が6cm以下

N2c 両側あるいは対側のリンパ節転移で最大径が6cm以下

N3 最大径が6cmをこえるリンパ節

 

治療

下咽頭癌は前述のように受診時すでに腫瘍が大きくなっていることが多いです。そのため手術による腫瘍の切除が主体になっているのが現状ですが、 腫瘍が余り進展していない早期の場合は放射線治療を行うこともあります。手術で咽頭と喉頭を切除した後は食物が通る経路を作らなければなりません。その再 建法には胃を使う方法と腸管を使う場合がありますが、腸管を使うことのほうが多いです。

 

当科の下咽頭癌の治療成績

1991年から2001年までの10年間に当科にて治療を行った下咽頭癌は33名で、その内97%の32名が進行癌でした。

下咽頭癌は見つかりにくい場所にあり、ほとんどの方が癌が進行してから受診されています。

全体の5年生存率は35.2%で、T分類、リンパ節転移の 有無では5年生存率に有意差は認めませんが、原発巣の進行度が低い方が治癒率が高い傾向があります。

のどの症状は早めに近くの耳鼻咽喉科で診察してもらい、早期に癌を発見してもらうことが重要です。