中咽頭腫瘍

2011年10月13日

基本的概念

中咽頭腫瘍は軟口蓋の高さから舌根部までの範囲にできる腫瘍です。中咽頭は複雑な形をしており、扁平上皮・小唾液腺・リンパ組織など色々な構造物があるため、これらの組織から種々の良性・悪性腫瘍が発生することがあります。良性腫瘍としては乳頭腫・血管腫・多形腺腫・神経鞘腫・腺腫など、悪性腫瘍としては中咽頭癌(扁平上皮癌・腺癌)・肉腫・悪性リンパ腫などがあります。

中咽頭癌は飲酒と喫煙習慣が危険因子で、50~70歳代の男性に多く、女性の3~5倍みられます。原発部位では口蓋扁桃を含む側壁原発が半数以上を占めています。病理組織型では側壁型では低分化の扁平上皮癌が多いですが、上壁型では比較的分化型扁平上皮癌が多く、同じ中咽頭癌の中でも多様性がみられます。

 

症状

初期症状としては咽頭違和感、咽頭異物感、頚部腫瘤などが多いですが、原発腫瘍や頚部リンパ節がある程度の大きさになるまで無症状のことが多いです。

原発腫瘍が大きくなって周りに進展していくと、出血や痛み、開口障害、舌運動制限に伴う構音障害・嚥下障害、頭蓋底に進展した場合は下位脳神経症状なども見られるようになることがあります。

 

分類

前壁(舌喉頭蓋部)

舌根(有郭乳頭より後方の舌または舌後方1/3) (C01)

喉頭蓋谷 (C10.0)

側壁 (C10.2)

口蓋扁桃 (09.9)

扁桃窩 (C09.0)および口蓋弓 (C09.1)

舌扁桃溝 (口蓋弓) (C09.1)

後壁 (C10.3)
上壁

軟口蓋下面 (C05.1)

口蓋垂 (C05.2)

 

TNM分類

T1 最大径が2cm以下の腫瘍

T2 最大径が2cmをこえるが4cm以下の腫瘍

T3 最大径が4cmをこえる腫瘍

T4 隣接組織例えば翼突筋、下顎骨、硬口蓋、舌深層(外舌筋)、喉頭に浸潤する腫瘍

 

NX 所属リンパ節転移の評価が不可能

N0 所属リンパ節転移なし

N1 同側の単発性リンパ節転移で最大径が3cm以下

N2 同側の単発性リンパ節転移で最大径が3cmをこえるが6cm以下、または同側の多発性リンパ節転移で最大径が6cm以下、または両側あるいは対側のリンパ節転移で最大径が6cm以下

N2a 同側の単発性リンパ節転移で最大径が3cmをこえるが6cm以下

N2b 同側の多発性リンパ節転移で最大径が6cm以下

N2c 両側あるいは対側のリンパ節転移で最大径が6cm以下

N3 最大径が6cmをこえるリンパ節

 

治療

中咽頭は気道の一部をなすとともに食道の通過路で、構音・嚥下・呼吸など重要な役割を持っています。そのため、中咽頭腫瘍の治療にはいろいろな機能障害の起こる可能性があります。

中咽頭癌での治療はできるだけ機能の温存するとともに治療成績の向上させるために、治療の基本として当科ではシスプラチンという抗腫瘍薬を放射線治療と同時に使用するシスプラチン少量同時併用放射線治療を60~70Gy行っています。放射線治療で根治が難しいと判断した場合には外科的手術療法にて腫瘍の摘出を行います。このとき腫瘍の摘出にて欠損した部位には皮弁や腸管を使用した再建術を行います。また、手術療法以外にも腫瘍への栄養血管から抗腫瘍薬を注入する超選択的動注療法も行っています。

 

当科の中咽頭癌の治療成績

1991年から2001年までの10年間に当科にて治療を行った中咽頭癌は34名で、その内28名が進行癌でした。

癌が進行してから受診される割合が高いです。

全体の5年生存率は47.3%で、T分類・リンパ節の有無によって生存率に有意差を認めます。(原発巣の進行度が低い、リンパ節がない場合の治癒率が高いです。)

のどの症状は早めに近くの耳鼻咽喉科で診察してもらい、早期に癌を発見してもらうことが重要です。