上咽頭腫瘍

2011年10月13日

基本的概念

上咽頭腫瘍は鼻のいちばん奥の部位にできる腫瘍で、良性腫瘍としては血管線維腫・髄膜腫など、悪性腫瘍としては上咽頭癌(扁平上皮癌・腺癌)・悪性リンパ腫などがあります。初期には上咽頭腫瘍を疑わせる直接的な症状に乏しく、内視鏡による診察が重要になってきます。

上咽頭癌は60歳代が最も多くみられますが、若年者にもみられます。東南アジアや中国広東省などで高頻度にみられ、抗EBウイルス抗体が高値の 者が多いことからEBウイルスの関連が強く示唆されています。多くは未分化または低分化の扁平上皮癌で、早期に遠隔転移をおこしやすいという特徴があります。

 

症状

鼻症状:腫瘍によって鼻の奥が閉塞されることによって鼻閉、一部の腫瘍では出血しやすく鼻出血などが起こります。

耳症状:腫瘍によって耳管開口部(耳への通路)が閉塞することによって耳閉感、さらに難治性の滲出性中耳炎が起こり耳閉感・難聴などが起こります。

頚部リンパ節腫脹:悪性腫瘍では頸部リンパ節転移にて頸部リンパ節の腫脹をきたします。このリンパ節腫脹によって上咽頭の悪性腫瘍が見つかるものが最も多いです。両側の頸部リンパ節腫脹もしばしばみられます。

神経症状:悪性腫瘍が頭蓋底・頭蓋内浸潤することによって脳神経症状をきたします。腫瘍が進展する部位によって症状は変わりますが、眼球運動障害をおこすものが比較的多いです。

咽頭症状:咽頭痛・嚥下痛などは少なく、症状は乏しいです。

 

分類

後上壁:硬口蓋と軟口蓋接合部の高さから頭蓋底まで (C11.0,1)

側壁:ローゼンミューラー窩を含む (C11.2)

下壁:軟口蓋上面 (C11.3)

 

TNM分類

T1 上咽頭に限局する腫瘍

T2 中咽頭、および/または鼻腔の軟部組織に進展する腫瘍

T2a 傍咽頭間隙への進展なし

T2b 傍咽頭間隙への進展あり

T3 骨組織、および/または副鼻腔に浸潤する腫瘍

T4 頭蓋内に進展する腫瘍、および/または脳神経、側頭下窩、下咽頭、眼窩に進展する腫瘍

傍咽頭間隙への進展とは、咽頭頭蓋底筋膜を越える後外側への浸潤を意味する

 

NX 所属リンパ節転移の評価が不可能

N0 所属リンパ節転移なし

N1 鎖骨上窩より上方の片側性リンパ節転移で、最大径が6cm以下

N2 鎖骨上窩より上方の両側性リンパ節転移で、最大径が6cm以下

N3 次のリンパ節転移をいう

a 最大径が6cmを超えるリンパ節転移

b 鎖骨上窩へのリンパ節転移

 

治療

上咽頭癌では一般的に放射線治療が中心となり、原発巣に対して手術を行うことは希です。当科では放射線治療を60~70Gy、放射線治療中及び 後にシスプラチン・フトラフールといた抗腫瘍薬による化学療法を行っています。頚部リンパ節が残存している場合は頚部郭清術による腫脹リンパ節の切除を 行っています。原発巣の腫瘍が大きい場合は超選択的動注療法も考慮します。