口腔腫瘍

2011年10月13日

基本的概念

口腔腫瘍は視診・触診は比較的容易ですが、口腔内にできている腫瘤や潰瘍が良性腫瘍か悪性腫瘍か、非腫瘍性潰瘍か嚢胞かなどの診断によって予後や治療が全く異なってきますのでできるだけ早期の専門医への受診をお勧めします。特になかなか治らない口内炎は要注意です。

口腔内にできる良性腫瘍は乳頭腫、多形腺腫、血管腫、歯原性腫瘍などがあります。乳頭腫はパピローマウイルスの関与が指摘されていて、不完全な 切除は再発を生じやすく悪性化の報告もあるため完全切除と経過の観察が必要です。血管腫は生化時あるいはその直後から認められる暗紫色の腫瘤で急速に増大 することもあり、レーザーによる焼灼治療が必要な場合もあります。また、腫瘤状ではありませんが口腔内、特に舌に白斑症という病変がおこることがあり、 数%は悪性化するといわれており、厳重な切除・経過観察が必要です。

口腔腫瘍にできる悪性腫瘍としては扁平上皮癌がほとんどで、その半数ぐらいは舌癌です。口唇癌は非常に頻度が少ないです。舌癌は40~60歳代に多いですが、最近の高齢化で70歳異常の増加傾向がみられます。

 

症状

口腔癌の症状は痛み、しみる、しこりが主なものです。良性腫瘍は腫瘤以外には原則として無症状ですが、悪性腫瘍でも初期には無症状のことが多いで す。口腔癌は治るだろうと放置されている場合が多く、進行が早いこともあって受診時にはかなり大きくなっていることもよくあります。

 

分類

口唇
  • 上唇(赤唇部) (C00.0)
  • 下唇(赤唇部) (C00.1)
  • 唇交連 (C00.6)
口腔
  • 頬粘膜
    • 上・下唇の粘膜面 (C00.3,4)
    • 頬の粘膜面 (C06.0)
    • 臼後部 (C06.2)
    • 上下頬歯槽溝(口腔前庭) (C06.1)
  • 上歯槽と歯肉(上歯肉) (C03.0)
  • 下歯槽と歯肉(下歯肉) (C03.1)
  • 硬口蓋 (C05.0)
    • 有郭乳頭より前(舌前2/3)の舌背と舌縁(前方2/3) (C02.0,1)
    • 下面(舌腹) (C02.0)
  • 口腔底 (C04)

 

TNM分類

T1 最大径が2cm以下の腫瘍

T2 最大径が2cmをこえるが4cm以下の腫瘍

T3 最大径が4cmをこえる腫瘍

T4 口唇:鱗屑組織たとえば骨髄質、下歯槽神経、口腔底、顔面の皮膚に浸潤する腫瘍

口腔:隣接組織たとえば骨髄質、舌深層の筋肉(外舌筋)、上顎洞、顔面の皮膚に浸潤する腫瘍

 

NX 所属リンパ節転移の評価が不可能

N0 所属リンパ節転移なし

N1 同側の単発性リンパ節転移で最大径が3cm以下

N2 同側の単発性リンパ節転移で最大径が3cmをこえるが6cm以下、または同側の多発性リンパ節転移で最大径が6cm以下、または両側あるいは対側のリンパ節転移で最大径が6cm以下

N2a 同側の単発性リンパ節転移で最大径が3cmをこえるが6cm以下

N2b 同側の多発性リンパ節転移で最大径が6cm以下

N2c 両側あるいは対側のリンパ節転移で最大径が6cm以下

N3 最大径が6cmをこえるリンパ節

 

治療

舌癌の根治治療としては再建外科の進歩に伴い、現在では手術治療が中心になっています。当科でも早期のものに対しては舌の部分切除やレーザーに よる切除を行っています。頸部のリンパ節転移が認められたり腫瘍が大きくなっている場合には、舌腫瘍摘出および根治的頸部郭清術を行います。切除されてで きた欠損部は大胸筋皮弁、腹直筋皮弁、前腕皮弁などで再建します。また進行例では手術療法以外にも放射線治療や腫瘍への栄養血管から抗腫瘍薬を注入する超 選択的動注療法も行っています。