三連四重極型質量分析装置 (ABI社製 API4000)

ABI社製 API4000

ABI社製 API4000

 

ウォーターズ社製 Ultima

ウォーターズ社製 Ultima

 

三連四重極型の装置は、良好な選択性を持つ四重極MSを前段に、後段の分析計として同じ四重極型MS組み合わせた装置です。中間の衝突室にも四重極を利用しているため、三連四重極型と呼ばれています。四重極型は分析計としては分解能が低く、またマススペクトルを得るためにはその範囲をスキャンする必要があることから、感度も(Tof型などに比べて)劣ります。一方で、特定の質量に注目して固定して測定する場合には、スキャンする必要が無く、高感度が得られます。特定の質量に固定して測定するSIMモードは、既知の分子の定量に良く用いられます。また、MS/MS測定において、特定の質量を持つ分子から生じる特徴的な断片イオンのみを測定することで、複数の試料分子を特異的に検出し、定量することもできます(MRMモード)。さらに、特定の官能基が離脱することを利用したニュートラスロスモードや、プリカーサースキャンモードなど前段と後段の分析部分を自由に組み合わせ動かすことで、三連四重極型にのみ為し得る解析法が存在します。プロテオミクスにおいては、MRMモードを用いた多数のタンパク質の定量解析や、プリカーサースキャンモードによるリン酸化ペプチドの解析などに威力を発揮します。

 

三連四重極型質量分析装置の応用例

三連四重極型質量分析装置は、SIMやMRMモードなど多様な測定モードを持ち、その特徴を生かすことで他のタイプの質量分析装置では不可能な測定が可能となる。ここでは、プリカーサースキャン法の原理とそれを用いたリン酸化ペプチドの特異的検出法への応用例を示す。

 

プリカーサースキャン法の原理

プリカーサースキャン法の原理。後段の四重極(Q3)を固定し、特定の質量を持つ断片のみを通過させる。リン酸化ペプチドの検出では、リン酸化ペプチドを開裂させた時に生じるリン酸基に特異的なイオンのみを通過させる。一方で前段の四重極(Q1)は、通常にスキャンし、リン酸化ペプチドがQ1を通過した時に検出器(D)にシグナルが検出される。リン酸化されていないペプチドはシグナルを与えないので、リン酸化ペプチドのみが検出され、その質量スペクトルが得られる。

 

ペアレントスキャンによるリン酸化ペプチドの特異的検出

応用例。ペアレントスキャンによるリン酸化ペプチドの特異的検出。通常の測定(上のスペクトル)ではほとんど検出されないリン酸化ペプチド(上図の矢印)を三連四重極型のプリカーサースキャン法では特異的、かつ高感度にリン酸化ペプチドのみを検出し、その質量測定をすることが可能である(Konishi et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 2001)。

 

機器の共同利用についてはこちら

 

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