リンパ組織形成の分子機構の解明

リンパ組織の形成に障害をもつ種々のノックアウトマウスが報告されてから、正常マウスを用いた解析のみでは困難であったリンパ組織の形成に関わる分子機構の研究に新たな道が開けた。

全身のリンパ節、腸管に存在するパイエル板(Peyer's patch)、脾臓などの二次リンパ組織は、免疫担当細胞間の緊密な相互作用が行われる場として生体防御機構に重要な役割をはたす。近年、これらのリンパ組織形成に障害をもつ種々のノックアウトマウスが報告され、リンパ組織の形成に関わる分子機構を詳細に解析することが可能になった。腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor : TNF)と類似のすなわち、炎症性サイトカインと考えられてきたリンホトキシンalpha(lymphotoxin-alpha)の欠損マウスでリンパ節とパイエル板が欠損するという発見が端緒となり、この分野の研究が大きく進展した。

私どもは、自己寛容の成立機構に関わるmTECの構築化にもリンホトキシン受容体(LTbetaR)やreceptor activator of NF-kappaB(RANK)などのTNF受容体ファミリーが重要なはたらきをもつことを明らかにするとともに、その下流でNF-kappaBの活性化をもたらすNF-kappaB inducing kinase(NIK)とIkappaB kinase alpha(IKKalpha)の役割についても研究を行ってきた。今後は、こうしたシグナルが、どのような系列の細胞に、どのような分化誘導作用をもたらしているかの詳細を明らかにし、自己寛容の成立機構にはたらくmTECの人為的操作を可能にしたいと考えている。