禁煙のススメ

平成15年5月1日より「健康増進法」が施行されました。 この法律では、受動喫煙の防止(第5章第2節)が謳われています。 本学も10月1日より医学部が施設内全面禁煙となり、煙草の自動販売機及び灰皿が撤去されました。

 

保健管理部門では、今後禁煙に関する情報を提供するとともに保健相談に積極的に応じていきたいと思います。

 

「喫煙」に関する情報

 

「健康増進法」って何?

2003年5月1日に「健康増進法」が施行されました。急速な高齢化と癌や糖尿病などの生活習慣病の増加などに対応するため、これまでばらばらだった健康診断の実施方法を統一するなどの生涯を通じた健康管理のあり方などを規定した法律で2002年7月に成立しました。この法律の施行で身近な問題としてクローズアップされたのがたばこの喫煙問題です。

 

室内や室内に近い状況で(通常たばこを吸わない人が)他人のたばこの煙を吸わされる「受動喫煙」について、25条で「不特定多数の人が集まる施設の管理者に受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるようつとめなければならない」と規定しました。
対象となるのは学校や病院、官公庁、飲食店、百貨店、ホテル、鉄道車両、バスなどの幅広い施設・乗り物などです。ただ、施行時点では罰則はなく、努力義務にとどまっています。

 

法律の施行を受けて、禁煙に取り組む企業、施設もあります。首都圏の主な私鉄は、施行初日の5月1日からホームを含めて全面禁煙にしました。高速道路のサービスエリアも禁煙に踏み切りました。一部の百貨店でも全面禁煙にしたほか、他の百貨店でも禁煙スペースの拡大に動いています。

 

この健康増進法、嫌煙派には好評で「むしろ遅すぎたくらいだ」という声があります。 一方、愛煙家には「迫害されている」といった悲鳴の声があがっています。

 

(やさしい経済用語の解説)より

 

「百害あって一利なし」

たばこの煙には4000種類の化学物質が含まれています。その中に200種類の有害物質と40種類もの発癌物質があると言われています。

 

たばこの3大有害物質

ニコチン:微量でも猛毒

喫煙によって体内に吸い込まれるニコチンの量はたばこ1本で1~3mgくらいですが、ニコチンの経口致死量は体重1kgあたり1mgといわれています。体の小さな乳幼児ではたばこ1本の誤飲事故が命取りになる可能性があります。

ニコチンは口腔粘膜より非常に効率良く吸収され数秒以内に全身に回り、血管を収縮させて血流を悪くし、動脈硬化を促進させる事から心筋梗塞や狭心症等の虚血性心疾患をひきおこします。

 

タール:発癌物質が含まれています

フィルターに茶色く付着するいわゆるヤニのようなものの総称をタールといいます。数十種類の発癌物質が含まれています。

 

一酸化炭素:酸素の運搬を障害

一酸化炭素は血液中のヘモグロビンと強個に結びつき酸素の運搬を妨げます。

そのため、慢性的に脳細胞や全身の細胞に酸欠状態をもたらし、ニコチンの血管収縮作用と重なって心臓を養っている冠状動脈や脳血管の動脈硬化を促進します。

 

主流煙と副流煙

たばこの煙には喫煙者が吸い込む主流煙とたばこの点火部から立ち上がる副流煙があります。副流煙は主流煙に比べてニコチン、タール、一酸化炭素等の有害物質が数倍多く含まれています。

この副流煙を周囲の人間が吸い込む事を受動喫煙といい健康被害は深刻です。

*受動喫煙の防止に空気清浄機は有効ではありません。

空気清浄機が吸い込むのは吸入孔から40センチと狭い範囲であり、たばこの有害物質は60~90%がフィルターを素通りして拡散します。

 

たばこによる健康被害

喫煙者は非喫煙者に比べ平均寿命は短く、その約半数が喫煙に起因する死因で死亡することや、喫煙者の40%は69歳までに死亡することから、壮年期の死亡の1/3~1/2は喫煙が関連しているといわれています。

 


  • 肺癌、食道癌、すい臓癌、口腔癌、中咽頭癌、下咽頭癌、喉頭癌、腎盂尿管癌、膀胱癌は喫煙との関連が明確に認められています。
  • 循環器疾患
    心筋梗塞、狭心症、脳卒中等 *喫煙1箱あたりの虚血性心疾患に対しての相体危険度は2~3倍
  • 呼吸器疾患
    慢性閉塞性肺疾患、気管支喘息、自然気胸
  • 妊娠・出産
    低出生児の生まれる頻度は2倍、早産や妊娠合併症等の異常をひきおこす。

 

*これらの疾患の発生率は喫煙年数、1日の喫煙本数に比例します。

 

ニコチン依存度をチェック!

たばこに含まれるニコチンは麻薬などと同様依存性薬物で、喫煙習慣の本質はニコチンという薬物に対する依存性であるという報告があります。

ニコチンへの依存の度合いは喫煙者により異なります。

下の表でニコチン依存度をチェックしてみてください。

 

あなたはたばこを吸いますか?  {はい(毎日・時々) いいえ}
毎日と答えた方のみ下へ進んでください。
質問 0点 1点 2点 3点
1. 起床後、最初のたばこをすうまでの時間は? 60分以上 30分以上
60分未満
6分以上
30分未満
5分以内
2. 禁煙の場所で喫煙しないでいるのは困難ですか? NO YES    
3. 1日の中でどの時間帯のたばこをやめるのが困難ですか? どれも同じ 朝の最初の
たばこ
   
4. 1日の喫煙本数は? 10本以下 11~20本 21~30本 31本以上
5. 起床後数時間はその後より頻繁にすいますか? NO YES    
6. 病気で臥床している時でもすいますか? NO YES    

 

依存度判定 0~2点低い  3~6点普通  7~10点高い

 

禁煙はいま、「じっと我慢」から「ごく普通に」へ

タバコがやめにくいのは2つの原因があります。

1.「ニコチン依存」:タバコにふくまれるニコチンによるによる中毒症状

2.「条件反射によるタバコ」:それまでタバコを吸っていた場面になると急にタバコが欲しくなる習慣によるやめにくさ。

 

新しい禁煙のポイントは・・・

ニコチン代替療法

ニコチン代替療法は「ニコチン依存」を薬物で治療するもので、喫煙以外の方法で体内に少量のニコチンを補充します。

 

ニコチンパッチ

ニコチンパッチはニコチン切れを的確に抑えて禁煙の開始を容易にする貼り薬で、安全性も高く世界中で禁煙開始に広く使用されています。

薬剤の中心部にニコチンを含有した貼付剤で、ニコチンが少しずつ皮膚に浸透し、ニコチン離脱症状をやわらげます。

 

*ニコチン離脱症状

ニコチンずけになった体からニコチンが抜け出ていくために見られる症状。

一般的には禁煙開始後3日以内がピークになり徐々に消失します。

(タバコが吸いたい、頭痛、イライラ、体がだるい、眠い、落ち着かない)

 

日常生活の工夫

  • 冷たい水やお茶を飲む
  • 痛みで気をまぎらわす。(ボールペンなどで掌を押す、耳のつぼを爪で押す)
  • 歯ブラシを利用する。(くわえる、噛む、動かす、さっぱりする)
  • 体を動かす、深呼吸する
  • 宴会や煙の多い場所をさける。
  • 野菜を食べる(イライラを抑え、便通を整える)
  • その他の工夫(趣味に没頭する、マスクをつける、眠る、禁煙日記をつける)。

 

参考:高橋裕子「新・禁煙時代」ライフサイエンス・メディカルより