【研究成果報告】遺伝子組換えマウスを簡単に作る方法の確立

2015年6月17日
報告者

藤井節郎記念医科学センター 助教 竹本龍也

 

研究タイトル

「遺伝子組換えマウスを簡単に作る方法の確立」

 

研究グループ
    • 徳島大学 藤井節郎記念医科学センター 初期発生研究分野 竹本龍也
    • 千葉大学 医学研究院 発生再生医学 橋本昌和(現 大阪大学 生命機能研究科)

 

研究概要

 

 

研究の背景

医学や生物学の研究分野において、遺伝子改変マウスは重要な役割を担っています。以前は、高度な技術と、費用、期間を必要としていた遺伝子改変マウスの作製も、ゲノム編集技術が開発されたことで容易になり、作製にかかる時間も大幅に削減されました。

ゲノム編集技術は、人工制限酵素(CRISPR/Cas9など)を細胞内で働かせ、目的の遺伝子(ゲノム)を切断することでその機能を破壊する方法です。遺伝子改変マウスの作製を行う場合、人工制限酵素を受精卵に導入する必要があります。これまでの研究の多くは、受精卵に微細なガラス管を直接差し込み、人工制限酵素をコードするRNA遺伝子を顕微注入するマイクロインジェクション法によって行われてきました。しかしながら、マイクロインジェクション法は、高度な技術を必要とするため、遺伝子改変マウスを作製できる研究機関は限られています。また、たとえ熟練した技術を有していても、準備や操作に多くの時間を必要としています。したがって、ハイスループットに遺伝子改変マウスを作製することは困難でした。

研究の内容と成果

今回の研究では、電気パルスにより核酸を細胞へ導入する方法(エレクトロポレーション法)を用いることで、受精卵にRNAを効率的に導入する条件を見いだしました。エレクトロポレーションは、一度に40~50個のマウス受精卵にRNAを導入することができ、1個ずつ遺伝子導入を行うマイクロインジェクション法と比べ非常に簡便です(図1)。

この方法を用いてゲノム編集技術の1つであるCRISPR/Cas9システム(Cas9 mRNAとgRNA)を受精卵へと導入することで、高効率・高生存率に遺伝子改変マウスを作製することができました(図2)。また、遺伝子を破壊するだけではなく、目的配列の導入や置換を行うこともできました。

本研究で確立した手法は、最も簡単に遺伝子改変マウスを作る方法です。

 
研究者からのコメント

本研究で確立した技術は、熟練した技術を必要としないため、これまで遺伝子組換えマウスの作製が困難であった研究機関でも行うことができます。遺伝子組換えマウスは生物学・医学分野において非常に重要な役割を担っています。例えば、ヒトの遺伝子疾患とおなじ遺伝子変異を持つマウスを作製することで、その疾患に対する医学的・薬学的な研究を行うことができます。本技術によって、遺伝子組換えマウスを使った生物学・医学研究がより加速することが期待されます。

 
学術誌等への掲載状況

 

参考

徳島大学 藤井節郎記念医科学センター オープンラボのページはこちら