大学院講義を兼ねた特別講義

ユニークな機能が解明されつつあるAQP11を中心に、AQP研究の現状と今後についてもご紹介頂けると思います。多数の学生、大学院生、教職員のご来聴をお待ち致しております。

 

演題:    水チャネル(アクアポリン)の多彩な機能と生理的役割
講師:    石橋賢一先生

(国立病院機構・千葉東病院・臨床研究センター・分子生物研究部部長)

日時:    平成19年2月9日金曜日

16時~17時30分

場所:    歯学部示説室(4F)
担当教授:    細井和雄


講演要旨:

1992年に水チャネル(アクアポリン)がPeter Agreにより発見され、2003年に彼がノーベル賞するまでこの研究分野は急速な展開がみられた。現在では哺乳類に13個あるアクアポリン(AQP0- AQP12)総てのノックアウトマウスが作られ、一部ヒトでも欠損しているのが見つかり、アクアポリンの生理的意義についても明らかになってきた。さらにアクアポリンは水チャネル以外の機能や役割が明らかになってきており医学農学への応用が期待されている。

その例として演者がみつけた細胞内アクアポリン(subcellular aquaporin: S-AQP)の1つであるAQP11を紹介する。AQP11は細胞内とくに小胞体に分布しているがAQP11ノックアウトマウスは新生児期に多のう胞腎による腎不全で死ぬ。興味深いことに前駆病変として近位尿細管に空胞変性がみられるという特異な病像を呈する。類似病変は肝臓や小腸にも認められる。多のう胞腎にいたる機構は現在不明であるが細胞増殖、アポトーシスを介した細胞分化異常が考えられる。AQP11自身は水輸送をすることは分かっているがそれがどう関わるか興味ある問題である。同じく水輸送をするAQP1が細胞運動に関わっていることが最近示され、グリセリン輸送のAQP7の脂肪代謝への役割とともにアクアポリン研究は水代謝にとどまらない多彩な研究分野となってきている現状もあわせて紹介したい。

 

  1. Morishita Y et al. Disruption of aquaporin-11 produces polycystic kidneys following vacuolization of the proximal tubule. Mol. Cell. Biol. 25:7770-7779, 2005.
  2. Ishibashi K. Aquaporin subfamily with unusual NPA boxes. Biochim Biophys Acta.1758: 989-993, 2006.
  3. Yakata K et al. Aquaporin-11 containing a divergent NPA motif has normal water channel activity. Biochim Biophys Acta. In press.

 

石橋先生は水チャネルaquaporin(アクアポリン;AQP)研究の第一人者です。先生はAQP2, AQP3, AQP7-AQP12等のクローニング、および機能解析等この分野の先駆的研究を数多く行ってこられました。近年、AQPは水チャネルとしての機能以外に様々な機能を有することが明らかにされつつあり、注目されております。今回のご講演では先生が最近同定され、ユニークな機能が解明されつつあるAQP11 を中心に、AQP研究の現状と今後についてもご紹介頂けると思います。非常に興味深いご講演ですので、多数の学生、大学院生、教職員のご来聴をお待ち致しております。

最終更新日:2009年2月23日