大学案内2024に掲載
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教授田口 太郎総合科学部人口減少社会にも対応できる、市民が主役のまちづくりのプロセスデザイン教授田口 太郎総合科学部まちづくりの主役は、そこに暮らしていたり、活動していたりする市民です。その市民が主役となったまちづくりを実現するための方法を研究しています。社会では「人口減少」が大きな問題として言われますが、問題は人口減少そのものではなく、人口が減少することにより低下する利便性です。そう考えると、課題解決に向けた方法は人口増加に限りません。古くからある習慣や知恵、新しい技術を上手に使いこなすことで、人口減少下でも活力あるまちを創り出すことが可能です。 また、まちづくりは研究だけでは実現しません。地域でのワークショップやディスカッションを通じて実際にまちづくりに関わりながら、地域の文化や歴史、楽しさを内包したようなよりよいまちづくりを実現するためのプロセスデザインやその支援の仕方について探求し、日本や海外のまちづくりへの応用可能性を提案しています。
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教授西良 浩一医学部腰痛治療の世界の最先端がここに!整形外科を学ぶための最高の環境が整っている教授西良 浩一医学部プロフェッショナルとは未来の教科書を作る人。現状に満足することなく、常により良い医療を目指し、挑戦し続けることが大切です。そのために各年代で目標とすべき事柄を、それぞれの頭文字をとって “人生のVSOP”と言っています。VはVitality、SはSpecialty、OはOriginality、PはPersonality。20代はバイタリティを持って様々なことに挑戦し、経験を積む。30代は専門性を磨き、40代はそこに独自性をプラスし、50代になったら人間力を磨き、後進を育てる。そうすることで医療の未来を切り拓き、新しい教科書を作る人になって欲しいと思います。ここには膝関節、股関節の人工関節手術及び脊椎手術に対応する手術支援ロボットなど、最先端の設備も揃っています。さらに基礎研究にも力を入れ、青色LEDの抗腫瘍効果の研究を行っています。整形外科を学ぶための最高の環境が徳島にあります。
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教授常山 幸一医学部さまざまな「光」が有するポテンシャルに注目し、これまで見えなかった細胞や臓器の情報の可視化に迫る教授常山 幸一医学部病気になると細胞や臓器には機能的・形態学的に特定の変化が生じます。たとえば「がん細胞」は正常の細胞に比べて、個々の形がいびつになり、細胞が集合して作り出す構造も変わってきます。病理医はそのような「形の変化」を顕微鏡で捉え、細胞や臓器に何が起こっているのかを判断し、病気がどのような種類のものかを診断しています。ただ、「形」だけの情報には限界があり、病理診断の精度向上には、より早く・確実に形以外の情報を獲得することが重要です。私たちは病理診断を補助する新技術として、さまざまな「光」が有するポテンシャルに注目しています。現在、ポストLEDフォトニクス研究所の研究者と共同で、特別な光を使った顕微鏡を駆使して、「これまで見えなかった細胞や臓器の情報」の可視化に取り組んでいます。
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教授保坂 啓一歯学部世界をリードする研究!“Super Tooth”。生物物理化学的に強化された歯と生体材料との接着界面形成に挑む教授保坂 啓一歯学部世界中で多くの人々を悩ませ続けている、むし歯、歯周病、損耗などから歯を守る学問を歯科保存学といいます。日進月歩の新素材や新技術開発を背景に、日本が世界をリードしている歯科医学研究領域の一つです。私自身は、その中でも、“Super Tooth Formation”と呼ばれる、天然の歯を越えるほどに、生物物理化学的に強化された歯と生体材料との接着界面形成の研究に取り組んでいます。研究成果は現在、むし歯になりにくくする歯のコーティング治療、健康な歯を削らない低侵襲の白いつめもの(コンポジットレジン)治療などに用いられており、注目されています。少子超高齢社会、グローバル化、デジタルトランスフォーメーションという、ニューノーマル時代の3大メガトレンドを意識しながら、研究室メンバーが一丸となり、また、他学部の研究者との連携を大切にしながら、世界一の研究室を目指しています。
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教授大髙 章薬学部“失敗を言語化”することで、薬のもとになるタンパク質やペプチドの創製を目指す教授大髙 章薬学部2022年春に日本薬学会賞を受賞しましたが、受賞までにはいくつもの失敗の山を築いてきました。研究を続けていると、何年か経って『あのときの失敗はこういうことだったのでは?』と疑問に思う瞬間があります。その時、積み重ねた失敗を論理的に整理、解析すること、すなわち“失敗を言語化”することが大事です。理系でも国語は重要です。正しい論理構築なくして、すばらしい研究はありません。正しい日本語でしっかりした文章を書き、論理的に思考する力を磨いて欲しいと思います。日本語で書けるようになれば、次は海外発信に向け英語で書く努力をする。その訓練を重ねて身につけた力は将来、必ず役に立ちます。現在、薬のもとになるタンパク質やペプチドの創製に“失敗を言語化”の成果を応用しています。
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教授矢野 隆章理工学部レーザーやLEDに代表される「光」を用いて、がんや生活習慣病などの疾病を超早期に発見!教授矢野 隆章理工学部早期診断によって患者の負担を低減することに加え、感染拡大を防止する観点からも、高感度かつ高速診断技術の確立が渇望されています。レーザーやLEDに代表される「光」を用いると、生体内の組織や細胞に触れること無く、それらを傷つけずに観察・分析することができます。私たちは、最先端の光センシング技術を駆使して、血液や呼気に含まれる微量なバイオマーカー(疾病に関連する生体分子)を超高感度で検出する医療機器の開発に取り組んでいます。がんや生活習慣病などの疾病を超早期に発見することが可能となるため、予防医療への貢献が期待されています。光の聖地である徳島大学発の光診断技術を世界に広げ、健康長寿社会の実現を目指して、教員と学生が一丸となって研究活動に取り組んでいます。
大学案内2023に掲載
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教授佐原 理総合科学部成層圏に気球を打ち上げて“総合科学を飲む”プロダクトデザインを教授佐原 理総合科学部デザインは多様な領域を結びつけ1つの答えを処方する総合科学的学問です。成層圏における微生物動態が生命進化や生命起源に関与している? という学術的問いはNASAを始めグローバルに研究者が取り組む課題です。そうした問いに対し、惑星生物学、栄養学、文化人類学、地理情報学など多様な学問領域の研究者と協力して研究に取り組み、気球で成層圏に観測装置を打ち上げる実証的プロジェクトをデザインしています。また、ローカルな地方創生という課題に対し、酵母菌を成層圏に打ち上げ、最先端の科学的知見をビールとして飲めるプロダクトを地元のブリューワリーと共同で開発し、地域の持続可能な成長のためにデザインという視点から探求を行なっています。
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教授西岡 安彦医学部全国から研究者が集まる最先端の肺疾患研究が行えるラボ教授西岡 安彦医学部徳島大学医学部長であり、徳島県新型コロナウイルス感染症対策専門家会議座長も務める西岡教授の専門分野は、呼吸器病学。入局後、最初の10年は肺のがん免疫の研究を、その後の10年は肺線維症の研究を主に行ってきました。一人の研究者が2つの違う領域の研究を行うのはとても珍しいこと。この別々の研究を繋ぐきっかけとなったのが、線維細胞という細胞の研究です。この研究は学術雑誌『Nature Communications』に掲載されました。「患者さんに還元するような研究をしたい」と話す西岡教授。がんと比べ肺線維症を研究している人は少なく、基礎研究から臨床研究、新しい薬剤の開発まで幅広い最先端研究に携わることができます。
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教授工藤 保誠歯学部口腔がんの研究をライフワークとしつつ、国際的な歯科医療人の育成を目指す教授工藤 保誠歯学部2020年7月、歯学部の生化学教室(分子医化学分野)と薬理学教室(分子薬理学分野)が融合して誕生した口腔生命科学分野。ここで口腔生化学および歯科薬理学の教育を担当しつつ「口腔がんにおける細胞周期制御の異常」に関する研究をライフワークとしている工藤教授。独創性のある研究を遂行し、国際的に活躍できる歯科医療人の育成を目指して、学生発案の新たな挑戦のサポートにも力をいれています。例えばAIを用いて口腔がんの予後にどのような遺伝子が関わっているのかを調べる研究もそのひとつ。研究テーマはもちろん、バックグラウンドも違う研究者が集まり、科目と科目の垣根をこえて、より柔軟に学べる環境が相乗効果を生んでいます。
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教授佐藤 陽一薬学部男性不妊症原因遺伝子を解明し、精子機能の改善薬の開発を目指す教授佐藤 陽一薬学部不妊症の約半分は男性に原因があることをご存知でしょうか。その多くは精子形成障害で、男性不妊症は厚生労働省が認めた治療薬もなく、治療法自体もないのが現状です。佐藤教授は世界に先駆け、精液の質や生殖ホルモン値も収集してゲノムワイド関連解析(GWAS)を実施。精子の運動率と関連する遺伝子を特定しました。また、生殖に関するホルモンについてもGWASを行い、生殖機能に影響を与えているホルモンの分泌に関連する遺伝子を発見。現在、精子機能の改善薬の開発を目指す一方で取り組んでいるのが副作用の予測モデルの構築です。薬の服用前にゲノム情報を調査することで副作用を回避し、個別化医療の提供が行えるよう目指しています。
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教授伏見 賢一理工学部神岡の地下実験室に「ピコロン」を設置、宇宙の謎とダークマターの正体に迫る教授伏見 賢一理工学部宇宙の進化の謎を解く鍵となる正体不明の素粒子、ダークマター。たしかに「ある」と分かっていても、いかなる電磁波を用いても見ることが出来ないダークマターを追って、名探偵のように推理を巡らし、正体を突き止めようと研究を続けています。目視できないダークマターを見つけるため、「おそらく原子核とはごく稀にぶつかるだろう」という仮説のもと、2021年、放射線検出器と同じ原理を用いて開発した実験用試作機ピコロンを岐阜県飛騨市神岡町の地下実験室に設置しました。この実験装置の開発も研究室で行っていて、「やっていることは天文学というより、ほぼ工学」という伏見教授。ダークマター研究において国内有数の研究拠点がここにあります。
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講師渡邉 崇人生物資源産業学部昆虫食のイメージを一新、環境にやさしくサステイナブルな食用コオロギを研究講師渡邉 崇人生物資源産業学部既存の畜産と比較し、環境負荷の低いたんぱく源として注目の昆虫食。その中でも雑食で飼育しやすく、味もいいコオロギに着目して研究を進めている。研究と並行して、食用コオロギを扱う徳大発ベンチャー企業『グリラス』を起業し、『無印良品』を展開する株式会社良品計画と協業した「コオロギせんべい」は、昆虫食のイメージを一新。“環境にやさしくサステイナブルな食料” へ、これまでの価値観を見事にアップデートしました。企業と共にこのストーリーを描き、現在に至る昆虫食ブームの仕掛け人が渡邉助教。学生として徳島大学に在籍中からコオロギの基礎研究を続け、生物資源産業学部の誕生をきっかけに、コオロギの食用化という応用研究に取り組んでいます。