平成28年度徳島大学卒業式・修了式式辞

平成28年度徳島大学卒業式・修了式式辞

平成29年3月23日(木曜日)

会場 アスティとくしま

徳島大学を代表いたしまして、一言、お祝いの言葉を述べさせていただきます。学部生の皆様、ご卒業おめでとうございます。大学院生の皆様、ご修了おめでとうございます。また、ご臨席の保護者の皆様、関係者の皆様に、お祝いを申し上げます。

さて、平成28年度は、実に多くの国際的に重要な出来事がありました。イギリスのEU離脱、アメリカ大統領にトランプ氏が就任、韓国ではパク大統領が罷免されました。このように、世界は大きく恩わぬ方向に動いています。世界は急速に変化し、しかもその流れの方向は予測不可能な感じがいたします。

一方では、世界が変化する方向が次第に明確になってきています。そのことについて、簡単に紹介して私のお祝いの言葉 にしたいと思います。

私が皆様と同じ年代の頃、つまり半世紀前、50年前の日本は、まだ物のない時代で、大学生はベトナム戦争などに反対し、大学を封鎖して戦争に抗議したりしていました。現在から比べると非常に貧しい暮らしをしていました。あれから50 年、日本は豊かになりました。もちろん、日本にも世界にも格差が存在し、それが問題になってはいますが、昔から比べれば豊かになりました。そのことにより、世界は大きく変わろうとしています。パラダイムシフトという言葉を聞いたことがあると 思いますが、今そのパラダイムシフトが起こっています。「パラダイム」とは、三省堂の辞書によると、ある時代や分野において支配的規範となる「物の見方や捉え方」 のことです。それが「シフト」、つまり、変わることを意味します。古い例としては、ガリレオが主張したことで有名な地動説により、天動説から地動説へのパラダイムシフトが生じています。

さて、現在のパラダイムシフトについて紹介します。徳島大学の卒業生で、株式会社日立製作所の執行役社長兼 CEO の東原敏昭氏も、講演で強調していたことです。このシフトは、ドイツでは、Industry (インダストリー )4.0と呼ばれています。第1次は、蒸気、2次は電気、3次は自動化、第4次産業革命は、IOT がキーワードです。日本では Society5.0 と呼ばれています。

1は、「モノ中心からコト中心」へのシフトです。スーパーマーケットに象徴されるように、すでに必要な「モノ」はほとんど手に入れることができています。そこで人々の興味は、物質の所有ではなく、感動の経験や体験、楽しい恩い出、気楽な人間関係、ありがたいサ-ビスなどの自に見えない 「コト」に移行してきでいます。

2は、「所有」 から 「共有」へのシフトです。物の所有に興味がなくなると、共有の概念が生まれてきます。アメリカでは、車の共有化に関係するUber や、部屋の共有化に関係するAirbnb が発展しており、日本でも一部導入されてきています。車を所有して、通勤に利用したとしても少なくとも勤務時間の間は駐車場に止めているだけで、車の稼働率は10%程度 と言われています。そこを、共有することができれば、車の稼働率は上がります。特に、自動運転になった場合は、自動車を所有する人は、かなり減少するでしょう。もう一つの例は、使用していない部屋や家を共有するこ とで、実に合理的です。この流れは、多くのものについて生じ、最終的には、食料についても共有する時代がくるかもしれません。

3 は、「個別最適」 から 「全体最適」 へのシフトです。様々な物が共有され、個々の情報が開示されるようになると、多くのデ-タを解析できるようになり、またインターネットで様々なものが繋がるようになると、個別の最適化ではなく、組織全体を最適にすることにより、効率化できます。

例えば、市町村において、全ての自動車が共有されれば、最も効率のよい自動車の利用法を採用するようになります。

4 は、「閉鎖」 から 「公開」へのシフトです。全体の最適を考えると、個人の問題や企業の問題を公開して、問題を関係者全員で考えることが必要になります。そのことを象徴する言葉は、お会いするのを楽しみにしています。オープンイノベーションで、イノベーションを起こすためには、問題を公開して知恵を出し合うことが必要であることがわかってきています。

徳島大学では、クラウドソーシングの事業を、新規に設置した大学支援機構で行う予定です。企業や大学において、問題を解決するための最適な人は、同じ企業や 大学にいるとは限らないのです。むしろ確率は低いでしょう。そうなると、問題を公開して、課題を解決してくれる人を外部に求めるほうが、はやく良い答えを得ることができると思います。

資金調達も同様に、多額の資金を一人で用意するのは困難ですが、少額を多くの 可ミ 人々が支援すると多額な資金を調達することが可能になります。例えば、10万人の支援者がいれば、一人1,000 円を支援していただくだけで、1億円の資金援助が得られることになります。これがクラウドファンディングのコンセプトです。米国では非常に発展しています。

これらの4つのシフトは、一見ばらばらに見えますが、全ては関連しており、コンピュータの性能が飛躍的に高度になったことが理由です。そのことにより、生産 性が向上し、物のインターネット(IOT) の発展など、世界がインターネットで繋がることにより生じるパラダイムシフトであると考えています。

さらに、今後は人口知能 AI がさらに発達し、financial technology フィンテック、 Education Techno logy エドテック、ゲノム編集などと呼ばれている技術がさらに発展し、パラダイムシフトがさらに進み、銀行や教育産業 、農業などの一次産業に大 きな影響がでます。皆様がこれから社会に出て、生活をする場合に、このような社会の変化が必ず生じることを意識しておくことは、皆様の人生にとって大切なことではないかと考えています。

徳島大学もパラダイムシフトに対応して、卒業生、修了生と頻繁に連絡をとり、皆様を支えてまいります。これまで以上に、母校の情報を公開しますので、情報を共有していただき、皆様にとっても最適な母校になる予定です。

最後になりましたが、卒業生、修了生の皆様の今後の発展と、会場の皆様のますますのご健勝をお祈りいたしまして、私の祝辞にさせていただきます。本日は、おめでとうございました。

最終更新日:2017年3月24日